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水道料金のしくみ(平成23年10月改定)

水道事業運営と水道料金

経営の基本原則

 水道事業は、「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与すること(水道法第1条)」を目的とし、「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない(地方公営企業法第3条)」という基本原則に基づく地方公営企業です。

独立採算制の原則

 経済性を発揮する仕組みのひとつとして、「地方公営企業の経営に伴う収入をもつて充てなければならない(地方公営企業法第17条の2第2項)」という「独立採算制の原則」があります。これは水道事業は、税金によらず水道料金などの収入によって運営されなければならないというものです。

経費負担の原則

 独立採算制の原則のほかに「経費負担の原則」として、「その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもつて充てることが適当でない経費」あるいは「当該地方公営企業の性質上能率的な経営を行なつても、なおその経営に伴う収入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費」などがあり、これらについては税金でまかなうこととなっています。(地方公営企業法第17条の2第1項1号及び2号)

公正妥当な料金設定

 受益者負担である水道料金は、「公正妥当なものでなければならず、かつ、能率的な経営の下における適正な原価を基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるもの(地方公営企業法第21条)」でなければならないとされています。

 また、料金が「定率又は定額をもつて明確に定められていること」、「特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと」等(水道法第14条第2項各号)が、供給規定に定めるべき条件として求められています。


料金算定のしかた

水道料金の算定方法

 料金の算定方法として、全国の水道事業体が加盟している(社)日本水道協会では、「水道料金算定要領」を作成しており、多くの事業体が参考としています。

【具体的な手順】

財政の収支見通し → 適正な料金水準の決定 → 料金体系の決定 → 料金の算定

  • 財政の収支見通し

 まずは、料金算定期間を決定し、水需要など業務量の見込みを立て、その前提条件に基づく水道事業の経営計画を立てます。この計画には、安全で安定した水の供給が行なえるよう、施設の改修や維持、補修や、経費の削減などが含まれます。

  • 適正な料金水準

 次に、収支計画から料金算定の基礎となる費用を積算し、料金水準を決定します。ここでは、水道料金に求められる「能率的な経営の下における適正な原価」を算出し、水道事業の「健全な運営を確保」できるよう、施設の計画的な改修・更新等に必要となる費用(資産維持費)を算出します。これらの費用を合わせて「総括原価」といい、この総額が料金収入の総額と一致するように料金を設定する必要があります。

  • 料金体系の決定と料金算定

 料金水準となる総括原価が確定すれば、次に料金体系を選択し、個別原価主義に基づき料金を決定することになります。

 一般的に水道料金は、水道の使用水量の多少に関係なく、水道を利用可能な状態に保つための経費として負担していただく「基本料金」と、使用した水量に応じて必要となる原価を負担してもらう「従量料金」から構成される、「二部料金制」を採用しています。

 また、これらの料金は、水道を「何に使うか」という目的別に料金を設定する方法と、「一度にどのくらい使えるか」という給水管の口径の違いによって設定する方法があり、それぞれ「用途別料金体系」及び「口径別料金体系」といいます。  そして、基本となる料金体系を決定し、「総括原価」を性質ごとに区分した上で、各使用者群や使用水量へ配分することで、水道料金が算定されます。

今回の料金算定(平成23年10月)

 今回の料金改定の策定に当たっても、前述した「水道料金算定要領」に基づき料金算定をしています。

 今回の料金算定期間は、平成23年度から平成26年度までの4年間としました。その期間における収支状況は、給水収益は減少する傾向ですが、企業団における経営努力により、現行の料金水準のままでの事業運営が可能と見込んでいます。

地域による水道料金の違い

事業体ごとに違う水道料金

 水道料金は、水道事業を運営する事業体によって違います。 水道事業は、市町村などの地方公共団体ごとに経営されており、それぞれの地理的条件や社会的状況に応じ、水づくりや設備投資に要する費用に違いがあります。(以下の項目参照)  そのため、独立採算制の原則から、各事業体ごとに必要な費用を基に水道料金の設定をしているので、地域によって水道料金が異なります。

水源の種類や水質、距離などの状況

 水源の種類によって、ダムの建設や浄水場の建設など必要な費用が異なり、水質の違いによっても水づくりに係る浄水費用が異なります。また、水源の位置が遠い場合などには、原水を浄水場まで送る費用が多く発生します。そのため、良質な地下水などを水源とする場合は、費用が少なくてすみます。

 企業団では、蟹沢や三島の地下水の利用率は3割未満であり、大部分は馬淵川と新井田川から取水した原水を白山浄水場で集中的に浄水しています。また、粉末活性炭処理などでおいしい水の供給に努めています。

給水区域の広さや地形等の地理的要因

 給水区域が比較的狭くて高低差が少ない場合は、給水区域をカバーする水道管やポンプ施設などの建設費用や、施設や設備の修繕費・動力費などの維持管理費用が少なくてすみます。

 企業団では、広域水道事業として、広い面積をカバーするため、施設や管路の管理費用が高くなっています。また、過去の地震の教訓から耐震管の整備を積極的に行っており、約34%と全国的にも高い耐震化率となっています。

人口や産業の集積度など水の使用状況の違い

 給水人口が多く、水を多く使う産業がたくさんある地域では、利用効率が高くなっています。全国的に見ても、人口の集中している関東圏や関西圏などの都市部では料金が安い傾向にあります。

 企業団は、現在、1市6町で構成され、水道管は2千㎞を超え、給水人口は約33万3千人となっていますが、人口密度が低く配水効率の低い地域であるといえます。

水道施設の建設時期や規模

 給水の開始時期の違いによっても、係る費用は異なってきます。これは水道施設の建設に係る財源を、企業債(借入金)に依存することが多いため、その元利償還金が発生します。この借入金は、水道料金で返済しなければならず、建設時期が古ければ、借入金の返済が終わっている場合が多いからです。

 企業団は、昭和62年から第1期拡張事業により、施設の整備を進めてきました。施設の整備には、国の補助金や構成団体からの出資金を活用し、企業債を減らす努力をしています。ピーク時の平成8年度末で約306億円あった企業債残高も、平成21年度末では約190億円となっています。

お問い合わせ先 経営企画課財政運営グループ 0178-70-7032

 

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